模擬国連委員会TICADプロジェクト-TICADとODA-

Japan Model United Nations Society TICAD Project
模擬国連委員会TICADプロジェクト

『TICADとODA』

議事録

5月25日(日)
 
≪TICADとODAに関する基調講演≫
TICAD市民フォーラム  遠藤 衛 様 

パワーポイント 

アフリカとは?
アフリカの概要IMGP0681.JPG 
アフリカは、サファリ、ジャングル、砂漠、寒冷な所など多様な自然を持つ大陸である。近年になり日本とアフリカの交流が深まるにつれて日本人の持つアフリカのイメージが変化してきた。また、豊富な石油、鉱物や農産物(コーヒー、綿花)などの天然資源が存在する。マラリアやAIDSなどの疾病がある一方、未知のものも存在するといわれ、いくつかの有用物質の発見(将来的に、病気の治療薬になるものなど)も期待されている。
そして多々内戦が各地で起きているイメージがありがちだが、タンザニアのように平和な国々も多数ある。
 
面積;3026万平方キロ 日本の80倍 世界の22,2% 
人口;9億2500万人  日本の7,24倍 世界の15%
国数;53国
 
様々なデータ、またそこから分かる問題点
 
地域別GNPの推移
→アフリカは1971年のデータから変わらずにいる(当時は他の大陸と同じ水準だった)
 
五歳以下の幼児の低体重発現率
→アジアやラテンアメリカは減少しているのに対しアフリカは増加
 
穀物生産性
→アジアやラテンアメリカは増加しているがアフリカでは横ばい状態
*ただ裕福な国はアフリカでも食糧を所有していて、問題点はそれを多くの人が手にできるだけのインフラ整備ができていないことにある
 
*アジアやラテンアメリカは民間からの投資が多いのに対してアフリカは他国からのODAなどによる援助額の方が多い→民間の政治的行動が少ないと民主的ではなくなる。
 
主な解決方法
・ガバナンスの整備
・人々へ投資する(識字率を上げる)パートナーシップの強化
・生産性と競争力の向上⇒経済の多様化
・市場規模を拡大の、 地域的経済統合の必要性
 
TICADとは? 
アフリカ開発会議について
  成果
→アフリカ支援の重要性を強調 貧困削減 貿易促進の主調
 
問題点
→世界的テーマアフリカ重視や貧困削減を形成したが発展しなかった。
   援助の方法論、援助額の議論でおくれてしまった。
   アフリカ援助を外交ツールや貿易促進の手助けにしようとしたために本腰をいれた努力ができなかった。
 
 サブサハラ支援実績
  →アメリカはトップなのに対して日本はTICADを開始してからも援助額 は変わっていない
 
今年のTICAD4の見どころIMGP0686.JPG 
・アフリカの最重要問題の貧困問題についてどれだけ核心に迫れるか(環境 や緊急援助、貧困問題に対して)
・政府がどれだけ具体的に約束できるか
・市民社会と真のパートナーとなれるか
・アフリカの民主化が大切…市民社会も役割を持とう!
 
ODAについて
日本のODAの状況
 ・90年代以降連続して減少 38%減
 ・ODA予算 は GNIの0.2%(目標値0.7%) 
 ・対アフリカ援助予算、05年1100億円 ODAの10.8%
   *ちなみにイージス艦は1400億円
 
・政府の対アフリカ支援今後三年間で三倍増
→貧困や病気で苦しむ人々を何か別のことに関連付ける意味は? 国策OR 国家戦略
 
・市民関与が必要
 
提案 
 アフリカを知り、訪ね、交流する。何のためのODAか、開発援助かを人として、地球市民として考え、行動する。
 
<参加者の皆さんへメッセージ>
「あなたは、アフリカに向けた日本政府の政策をどうすべきだと思いますか?」
 
 
 
≪TICADとODAに関するパネルディスカッション≫
ファシリテーター
大野泉 氏(政策研究大学院大学[GRIPS]、開発フォーラム)
パネリスト
江島真也 氏(国際開発協力銀行[JBIC])
高橋清貴 氏(ODA-NET,日本ボランティアセンター)
遠藤衛 氏(TICAD市民社会フォーラム)
 
<JBIC江島氏のプレゼンテーション>
・有償資金協力について、これまでは、ほとんどがアジア向けであり、アフリカは少なかった。しかし、円借款有償資金協力は増えては来ている。IMGP0690.JPG 
・ただ、ローンなので、援助の対象が限られることもある
・かつて、最大受け取り国は中国であったが、今日はインドである。(2006年で中国は、円借款打ち切りとなる。)
・インフラ支援 電力、ガス、水道など、財源が分かれている。
・先進国のODA実績は右肩上がりだが、日本97年をピークに右肩下がりとなっており、国際社会の潮流からは外れている。
・アフリカの有償資金協力に関して、アフリカの後発開発途上国には、紛争が多発している。
・債務削減が大きな課題であり、返せないほど貧しい国42カ国中32カ国がサハラアフリカに位置する。しかし、90年代の終わりごろから、サブサハラ地域も石油が出るところを中心に経済成長がみられる。
 
・変貌するアフリカに応えて、円借款再開に向けて、国際機関との協調が進む。
例)アフリカへのインフラプロジェクト (ケニア、ウガンダ、タンザニアなど)
・道路プロジェクトが多い。国境またがるような国際道路の整備など
・貧困削減には、市民社会、官民パートナーシップが必要。援助だけではだめで、民間・市民社会との協力が必要
・具体的な取り組み→広域インフラ開発、成長を通じた貧困削減、コミュニティ支援、図書館整備、水力発電所など
・民間がインフラプロジェクトを実行する場合も、電線は円借款で行う、などの例もある。
・地球環境、民間セクター開発については、民間セクターを活用したスタイルがアフリカでも取り入れられている。
・また、南南協力も行われている(例:ベトナム、タイ→モザンビーク)
・民間企業との連携で日本らしい対アフリカODAの推進を。
・マイクロファイナンスなど地場の民間セクターを振興する取り組みもある。
・現在、昔アジアに円借款を行ったものが返済されている時期にいたったので、アフリカに回せる。
・円借款は、貸した後返せないという事態になることをさけるため、慎重に行う。
・国際協力銀行の組織の特徴上、取り組みには制約があるが、援助すること自体が目的なのでなくはニーズに応じた支援をすべきだと考える。
 
高橋氏
・なぜ難民が発生するのか?背景には貧困があるのではないか。IMGP0708.JPG 
・現場での活動の経験→お金は現場に投入されているのになぜなのか。
◎構造的な問題の存在
→コンサルの経験を踏まえ、ODAにフォーカスをあてて考えてみる。
5秒に一人こどもが死ぬ、この現状を「地球の病」とたとえると、その原因追求と分析は、「薬」といえるのではないか。貧困分析はどこまでできているのか?
どうすれば解決につながるのか→国際社会が一丸となって取り組む必要性。
ODAは薬の役割を果たせるか。
・グローバル化での貧困は、従来の貧困を姿が違う。ちゃんとした分析が無いと、貧困はさらに作られていく。
・脆弱性の問題。ワーキングプアーなどに見られる、近代化とともに進むリスク社会。リ→リスク社会の中での貧困は何だ?考えてみよう。
・ 資源が豊かなアフリカにおいて、リスクを高める要因とは何か?
鉱物など資源にたよる一次産品輸出→リスク高い→貧困
※一つのものに依存していくのは極めて危ない。
・どう地域の中で分配していくか?→貧困対策の中心に置くべき。
※ 経済成長におけるガバナンスの重要さ
※ ガバナンスにおいて、市民社会の参加の重要性
・アジアの経験を生かす。
アジアの経験の中には、負の経験もあるが、それも含めて活かしていこう。
 
遠藤氏
日本ODAは、経済成長だけでなく貧困を軸にあてるべきではないか。インフラだけで良いのか?IMGP0711.JPG 
提案するアジェンダ
1 どうしたら自立的な発展のために良い援助ができるのか?
2 TICADの意義 日本がインセンティブをとる、アフリカの自助努力は?
日本はどうアフリカの協力に関わっていけるのだろうか?
 
インフラに関しては、一般人に必要なものをどうにかしていくべきなのではないか?
インフラに関しては、50-60年のタイムスパンが必要だ。
インドや中国の経済成長には、安く高質な労働力がそれを支えているが、現時点でアフリカにはそれが無いのではないか。
 
江島氏
インフラ整備等に関しては、アフリカは、面積も広く、また人々が散らばって住んでいるため、整備が難しいという側面もある。
技術協力ベースが、人々の役に立つ場合もある。
 
高橋氏
日本は、ヨーロッパとはちがう視点で国際協力できるユニークな立場にある。
アジアの経験を生かすことができるのではないか。
産業構造が今後どうなるか考えていくべきなのではないか。
 
遠藤氏
ある意味での日本の地方分権のように、アフリカで、ある財源をもっと自由に使えるようになればよいのではないか?つまり、「こういうことが必要である」提案はできでも、そこに援助が伴うと、ある意味援助側の強制になりかねないので、現地の必要性を踏まえられるようなODA援助を行っていってはどうか。
 
江島氏
政府が、自身の取り組みに対して自画自賛であってはいけない。
今日の取り組みに関しては、技術協力は関心が強い。特に、工学、バイオは大きく注目されている。積極的にこれからも取り組んでいくべきだ。
 
「何を共有していけるのか」
「アジアの経験をアフリカにどう生かしていけるか」
 

inserted by FC2 system